高齢者の食事の傾向
年齢を重ねるにつれ歯の本数が減ったり、噛み合わせが悪くなったりします。消化器が衰え、インスリンなどのホルモン分泌の減少などにより食欲低下が起こりやすくなります。
そのため、一度に食べられる食事の量が減って、少し食べただけで満腹感を得ることが多くなります。
また、食欲の減退、義肢装着による食べにくさから、好きなものや食べやすいものだけを食べるようになるなど、高齢者特有の食の偏りが出て、知らないうちに栄養バランスの悪い体になって病気にかかりやすくなってしまいます。その結果、ちょっと風邪を拗らせただけでも重篤化して、取り返しのつかないことになることもあります。
体調の変化に注意する
高齢者の場合、体調の変化は食事に表れることが多いので、気を配るようにします。
食欲がなかったり、食事に時間が掛かったりするときや、水分をとらない、水を飲んでむせる、好きなものなのに食べようとしないなど、いつもと様子が違っていたら何らかの異常があると考えます。
次項の「食事観察のポイント」を参考に注意深く観察し、原因をいち早く察知して適切な対応をすることが、安全と健康を守ることに繋がります。
食事観察のポイント
食欲がない
食欲がない日が3日以上続くときや半分以下しか食べられない日が1週間以上も続くと栄養不足になります。
食べ過ぎる
食生活の乱れが3ヶ月間続くと注意が必要です。
特に好きなものだけを食べ過ぎると栄養が偏り肥満になって生活習慣病を引き起こします。
3食の食事以外に間食が多かったり、甘いものばかりを食べたがったりするときも要注意です。
いつもより食べる速度が遅い
歯ぐきに炎症が出たり、飲み込みがうまくいかないと食事に時間がかかるようになります。
特に歯や歯ぐきに病気がある場合は、痛みに耐えるため肩や胸に緊張が走り、唾液や消化器の分泌が減少します。
また、脳血管障害や糖尿病などの重篤な病気にかかっているときも、意識障害を起こして食事に時間がかかることがあります。
食べ物の好みがコロコロ変わる
食事の好みがしょっちゅう変わるときは舌の機能に異常があることがあります。
舌に異常があると嗜好が変わり、これまで好きだったものを嫌ったり、嫌いだったものをよく食べるようになります。徐々に同じものしか食べなくなって、栄養状態が悪化していきます。
食事中にむせる
食べ物がうまく飲み込めず、気管や肺に入ってしまい、むせることがよくあると、肺炎や窒息を引き起こして大変危険です。
※上記は、介護食アドバイザーのテキストより引用